はじめに

2000年頃、私はマイPCを初めて手に入れインターネットの世界へ足を踏み入れた。

きっかけは決して知的好奇心を満たすためではなく、エロ目的だった。痴的好奇心だ。

会社の先輩が「こんなのが無料で見れるゾ」と心ときめく電子空間を紹介してくれたのがきっかけだった。情報としてそういうものがあるのは知ってはいたが、ネット接続は敷居が高いのでは、という先入観と当時(今でもか?)のサイトの猥雑なデザインからくる怪しさが自力で始めることに躊躇いがあったのだった。

しかし、有料のサービスもあるが、無料の範囲で十分楽しめると先輩は力説、いくつかのサイトのURLもご丁寧に教えてくれた。これがきっかけである。

ただ当時はダイアルアップ接続で23時のテレホーダイの時間を待ってネットサーフィンを開始するという時間の制約や、速度の遅さゆえ閲覧にも限界があった。1枚の画像を表示させるために時間を要し、期待感や裏切りもいい思い出である。また、ダイヤルQ2に勝手に接続されるトラップに2、3度引っかかり、聞いたこともない国への通話料が発生したこともある。

翻って現代である。ISDNADSLなどの段階を踏み、今や光回線となった。画像はもとより鮮明な映像もスムーズに見られる。しかもコンテンツはほぼ無限、いくら時間があっても足りない。ネットに接続すればする度に新しい発見がある。

インターネットを学術的な利用や知的向上を目的とするならば何ら問題はないだろう。なぜわざわざこういうことを言っているかというと、私の利用目的はただ単にエロ目的だったからである。

ここ20年、私はおかずを求めてネットサーフィンを続けてきた。今やエロサイトのみならずSNS上にも無数におかずが転がっている、探し回る時間はいくらあっても足りない。休日はもちろん、平日でも気がついたら2〜3時間は経過していたことなど日常茶飯事だった。またネットサーフィンにとどまらない。入手したものを細かく分類、ふるいわける作業などを含めると膨大な時間を費やしていた。

決して他人に迷惑をかけるわけでもない、趣味として捉えるならばお金もかからずいい趣味(悪趣味‥)といえよう。かかる費用はネット接続料だけである。PC内にくりひろげられる虚構の世界をリアルの世界で、という願望は一切ない。虚構は虚構で楽しんでいた。もちろん、生活の全てを趣味に費やすあまり自宅警備員となってもいない(たぶん)。ギリギリ一般の成人としての生活は送れていたつもりであった。

そんなある日、ある本に出会った。それが私の趣味を根底から否定された。その本には私が長年慢性的に悩まされていたからだや脳の不調の症状がそっくりそのまま記されてあった。

その症状の原因は「インターネットポルノ中毒」である。本のタイトルもそのまんまである。

私は中毒症状を起こしていたのだ。脳が完全に中毒を起こしていたのだ。また後日述べるが、ネットをエロ目的で使用することをやめた後の離脱症状は、本書に書いてある通りのことが起こり笑ってしまったほどである。

これからはその長年の不調やその直接的な原因を本書に照らし合わせながら不定期にこのブログに記す。これは現在進行形の闘病記でもある。これを書きながらも、今別タブを開いて数クリックで天使ちゃんのスバらしい画像や映像が無限に広がるのに私は見ないと思うと残念でならない。考えなければ存在しないのだが、考えないと努力すると考えてしまう。人間とは浅はかで脆いものだ。などと感慨深くなってしまった。